2017年9月9日土曜日

国道138号・山中湖西の自転車ナビライン



絶対的に足りない車道幅員、多すぎる自動車交通量、「自転車は車道」というドグマ、これらが組み合わさった結果、「安全で快適な自転車通行空間」どころではない、利用者を命の危険に曝すインフラが出来ていました。

富士山ロングライドで「ファミリー」から「チャレンジ」まで全てのクラスが通るルートに設定されているとは言え、これは生命倫理的にアウトな整備事例では?

(幹線道路における車道混在通行の死亡事故リスクについては過去の記事を参照)



明神前交差点付近


白線の下に設置された矢羽根ですが、早くも消失間際です。
(撮影地点の地図URL


大型車の通行が多いから?
でも画面奥の矢羽根はそこまで削れていないですね。
バスベイになっていてバスの出入りがあるからかも。

スポーツ自転車ではなくママチャリを描いたピクトグラム。
驚いた事にママチャリ利用者もこの法定外表示に従って車道を走っていました(後述)。


大型車通過時の様子を集めました。








20秒間足らずの撮影でこれだけ大型車が通りました。
広域の貨物輸送路線としても重要度が高いようです。


一つ上の写真の撮影地点から数メートル進んだ所
(撮影地点の地図URL




自衛隊の車両も通行します。
矢羽根は交差点の横だけ密に設置されています。


山中浅間神社横の上り坂(撮影地点の地図URL)。
矢羽根に従って車道を走れば後続車からのプレッシャーでひいひい言わされる所です。


道の反対側は矢羽根が白線の内側に沿うように設置されていますが、


こちら側は白線の下。矢羽根設置後に上から白線を引き直しているように見えます。
ここで使われている青い塗料は耐摩耗性が低い種類のようですね。


山中湖西交差点


山中湖西交差点はK字路に生活道路が1本加わった極めて変則的な交差点です。
(撮影地点の地図URL


交差点内は自転車の動線が矢羽根で示されてはいますが、
対向車線から左手前へと斜めに交差してくる車と正面衝突しそうになりました。
右折車が待機できるレーンが無いので対向右折車も焦りがちのようです。





白線の外側も黒いのでアスファルトかと思いきや、
街渠ブロックを黒く塗っているのかな? もっとよく見れば良かった。




簡素な道路構造の割には交通の負荷が非常に重い路線ですね。


山中湖西交差点の先(河口湖方面)


変則交差点を過ぎた先の単路(撮影地点の地図URL
矢羽根の真上は乗用車相手でも最低限の側方間隔余裕
(自転車の右端から車の左端まで1.0〜1.5m)が満たせそうにありませんが、


大型車相手ではすり潰されてしまいそうです。

今回の現地観察では、歩道がある区間では歩道を走ったので、私自身はこの撮影地点では車道上で追い越される体験をしていません。自転車が車道を走っていれば、写真のように白線ギリギリの通行位置で自転車を追い越すドライバーはそれほど多くはないと思います。ただ、矢羽根の整備以前にこの先の国道139号で死ぬかと思うほど怖いclose passingをされた事があるので、敢えて身を張って矢羽根の効果を体感しようとまでは思えないです。


ファナック通りとの交差点


ここまで歩道がある区間は歩道を走って車との錯綜を極力避けてきましたが、
忍野八海観光も兼ねて、危険な138号とはおさらばです。(撮影地点の地図URL

(ファナック通りに入ってからも幅員の狭い所では危険な追い越しが皆無というわけにはいかないかもしれませんが、ファナックの工場群を抜けて出口池辺りまで進めば車の交通量がグッと少なくなるので、比較的リラックスして走れます。)


ファナック通り入り口


画面奥の河口湖方面から手前の山中湖方面へは長い上り坂。
変なこだわりは捨てて歩道を通行した方が安全です。
歩行者は滅多にいませんし、途中、交差点もほとんど無いので、
出会い頭衝突リスクはほぼゼロです。


振り返って山中湖方面。歩道もかなり狭いですが、


車道上で追突、サイドスワイプされる危険と比べればマシかな。


車の後部座席から


矢羽根設置区間を走る車に同乗する機会があったので車視点での
見え方、感じ方を撮影(後部座席からです)。

これは山中湖から富士吉田方面に向かう車線ですが、撮影地点はどこだったかなあ。GPSロガーを起動し忘れていて写真に位置情報を付けられなかったので分かりません。矢羽根の辺りの路面を見ると、白線を以前よりも外側に移したような痕跡が見えますが、雑草の管理が不十分で白線の上に迫り出してきているので、矢羽根の真上は走りにくそうですね。

もっと交通量の少ない路線であれば、センターラインを抹消し、矢羽根(より望ましくは法定外の帯状レーン)を広く取って、自転車を追い越すドライバーに十分な側方間隔を取らせるよう誘導するデザインが使えたと思いますが、


この路線では対向車が次々来るので、そんなデザインは採用できません。
そもそも自転車インフラを矢羽根で済ませて良いような特性の路線ではないですね。

そんな交通の激しい路線ですから、自転車から側方間隔を取って追い越そうにも、対向車がなかなか途切れず、追い越しのタイミングが訪れません。勢い、多くのドライバーが側方間隔不足での追い越しを強行することになります。


特に対向車が大型車では正面衝突の恐怖からどうしても
自転車よりドライバー自身の安全を優先しがち。

重量比で言えば、自転車対乗用車(60~100 kg : 1~2 t)が、乗用車対大型トラック(1~2 t : 20 t)くらいですからね。


矢羽根に従うママチャリ利用者に遭遇!


以下、動画からの切り出しです。対向車線の車の通行位置を見てください。

対向車線の車は普通に車線の中央を走っていますが、


車列が途切れると、


その陰に自転車が走っていた!


ずっと白線と縁石の間のわずかな空間を走っていたようです。

矢羽根があっても自転車の安全に配慮した運転行動には繋がっていないのでは?