2017年8月23日水曜日

新大栗橋交差点の歩車分離と自転車横断帯の復活



都道18号と川崎街道の交差点(地図URL)。
  • 歩道から直進する歩行者・自転車
  • 車道から左折する車
のサブ・コンフリクトが分離信号で完全に解消されています。

しかしその反面、左折車線が先行して青に変わるので、車道から交差点を直進しようとする自転車にとっては危険極まりない構造です。


2019年4月19日追記{

歩車分離信号の導入経緯

交通量の多い同交差点では以前から事故対策が求められており、2004年1月に右折車と歩行者の交錯だけを解消した不完全な歩車分離制御が導入されていましたが、依然として左折車と歩行者を交錯させる制御でした。

その後、2015年3月に青信号で横断歩道を渡っていた自転車に乗った小学生が大型トラックに撥ねられて死亡する事故が発生し、住民の署名運動などを経て完全分離へと転換。車道の自転車を歩道へ誘導する看板も立てたそうです(私が訪れた際は見掛けませんでしたが)。

橋本由美子. 2015. “新大栗橋交差点の安全対策で市長に申し入れ.” こんにちは橋本由美子です. March 14, 2015. https://yumiko001.exblog.jp/22876521/.
“新大栗橋交差点 歩車分離1年 事故「0」に 今後川崎街道で車線増設 | 多摩.” 2016. タウンニュース. October 6, 2016. https://www.townnews.co.jp/0306/2016/10/06/351608.html.



復活した自転車横断帯


交差点の北西の角

左折車線の信号が青の間は歩行者信号は赤現示が続きます。車体直近が死角になる大型車が多く通行する交差点ですから、このような完全分離制御は必須ですね。


横断歩道のゼブラの痕跡が見えます。


2015年撮影のStreet Viewで見ると自転車横断帯がありません。

路面をよく見ると、元々あった自転車横断帯を消して、横断歩道のゼブラで上書きしていることが分かります。ということは、私が先日撮影した自転車横断帯はその後復活したもののようですね。

左折車が先に流れ始めるこの交差点では、直進自転車が車道から交差点に進入するのは危険ですから、自転車横断帯の復活は(たとえ一部の利用者から「父権主義的」との誹りを受けることがあろうとも)妥当な判断だったと私は思います。ただ、交差点の手前で歩道に上がる(*)よう案内する看板などを併せて設置していない点は疑問ですが。

* 例えば都道18号を北上する場合、新大栗橋交差点の90メートル手前で歩道に上がっておかないと、それ以降はずっと柵が続くので、もう車道から逃げられないんです。これは初見では分かりません。


自転車横断帯の撤去指示は的確だったか


警察庁交通局長は2011年10月に全国の警察に向けた通達「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」で、
多くの普通自転車の歩道通行が念頭に置かれている普通自転車通行指定部分の指定がある場合を除き、自歩可の交通規制が実施されている歩道をつなぐ自転車横断帯は撤去すること。
と指示しています(「普通自転車通行指定部分」は歩道上の自転車レーン的なもの)。これを受けて各地の警察が自転車横断帯を次々撤去していくわけですが、中には新大栗橋交差点のように、自転車の車道通行を認めるべきでない危険な交差点もありました。

各地の警察は、
普通自転車通行指定部分がある YES / NO
という単純な判断基準で撤去を進めたようですが、個別の現場を見た上で合理的な判断をしてきたとは言い難いです。

通達を文字通りに解して撤去作業を機械的に進めてしまう各地の担当者も担当者ですが、このような不適切な結果を招くいいかげんな指示を出してしまう交通局長も交通局長ですね。下部組織が指示を盲目的に実行してしまうという体質がある以上、指示内容の組み立てにはもっと注意を払うべきだったのでは?


「車道通行原則」という信条によって歪められた自転車行政


国内外の既往研究からは、歩道と車道が分かれた道路では車道通行より歩道通行の方が自転車にとって(単路では確実に、交差点でも恐らく)安全と推測されます。にも関わらず警察が、安全な自転車インフラが未整備で交通の激しい幹線道路であっても、自転車の車道通行の積極的容認を含意する自転車横断帯の撤去に踏み切った背景には、2000年代後半から国内の研究者や利益団体が、「自転車は車道通行すべき」と訴えてきたことがあります。

その過程では、工学博士号の保有者や国土交通省の付属研究機関が、客観的根拠に基づかない主張や、データを曲解した主張、持論に都合の良い結果だけが出るように計画された実験の結果などを国土交通省の委員会に大量に持ち込み、議論を歪めてきました。警察はそれらの詭弁にまんまと欺かれた格好です。

これについては下記の意見書で徹底的に検証しています。

国土交通省・警察庁の自転車ガイドラインについての意見


自転車を歩道から退出させるなら相応のインフラを用意してから


歩行者保護のため、そして自転車利用者自身も快適に走れるようにするため、歩道を自転車道などの専用インフラの代用として使い続けることが問題なのは確かです。新大栗橋交差点の近くでも、すぐ北の関戸橋までの区間は歩道がかなり狭くて走りにくいです。

ただ、だからと言って今すぐ車道を走れるかというと、上り坂はあるわ車線幅に余裕は無いわ車の流れが激しいわで、快適性云々以前に命の危険を感じます。

車道端の1車線を丸ごと自転車道に転換して「ここを走れ」というなら分かりますが、車道の構造には何一つ手を加えず、「自転車は車道を走った方が安全」という有識者らの詭弁に乗じて、現状のままの車道を自転車が走ることを積極的に容認するのは虫が良すぎますし、生命倫理に欠けています。こんないい加減な組織がなぜ道路の規制権限を握っているんでしょうね。

関戸橋南詰から新大栗端までの区間には幅10m以上の中央分離帯があります。これを縮小し、代わりに車道端に自転車道を設けるくらいの空間再配分はあって然るべきではないでしょうか。(これは警察ではなく道路管理者の仕事ですが。)