2017年3月6日月曜日

船堀街道の自転車レーン

都道308号(船堀街道)の葛西橋東詰交差点から船堀小学校の南東角までの区間に自転車レーンが整備されていました。比較的路上駐車が少なく自転車レーン幅員も広めですが、歩道を通行する自転車の方が多い印象です。日曜日の昼頃の観察した現地の様子です。



自転車レーン整備区間の南側の端


交差点から南側は未整備区間


幅員は充分あるように見えます。


交差点から北側は自転車レーン。混在通行表示を使わず、
狭いながらレーンを維持しています。


歩道と自転車レーンの比較


小型車だけなら何とか許容できる距離感ですが、


大型車が来ると圧迫感が強いです。


交差点の車線付加区間を抜けるとレーン幅がかなり広がっています。


停止線の前出しは自転車一台分ではなく乗用車一台分くらい有りそうです。

日本国内の現行のガイドライン(*1)では停止線の前出し距離は自転車一台分で良いとされていますが、
自転車の左折巻き込み事故防止等の自転車の安全を確保するための対策の一つとして、自転車1台分程度、自動車用の停止線より自転車道又は自転車専用通行帯の停止線を前出しすることを検討するものとする。
その程度の前出しでは大型車の運転席からは死角に入ってしまいます。ガイドライン基準には何ら科学的な根拠が見られず、検討委員らが単に言葉のイメージで決めた疑いが強いです。OECDの文書(*2)では過不足なく5mとの基準が紹介されています:
The Danish Road Traffic Accident Investigation Board recommends that the distance between the two stop lines is kept at exactly five metres to make it possible for truck drivers waiting at the stop line for cars to observe bicyclists waiting at their stop line (HVU 2006).
*1 国土交通省・警察庁(2016)「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン[改定版]」p.II-42
*2 OECD. (2013-12-19). “ITF Research Reports: Cycling, Health and Safety”. p.197




ちょいちょい逆走を見掛けました。

自転車レーンの幅員が広すぎるせいで逆走の心理的な敷居が下がっているとの見方もできますが、この幅員には、
  • 自転車同士での追い越しで車道にはみ出す必要が無い
  • 自転車2台が安全に並走できる
という利点もあり、一概には否定できません。

なお、自転車の並走については道路交通法で禁じられているからと短絡的に批判する人が多いですが、現行の道路交通法の並進禁止規定はジュネーヴ条約の同規定を歪めて取り入れたもので、国際的に見れば日本の特異性、不合理性が目立ちます。詳しくは過去記事を読んでね。

『月刊交通』臨時増刊号の感想——並進と自転車横断帯について



自転車レーンの利用者には高齢者や子供の姿もチラホラ



宇喜田公園の駐車場入り口で入場待機列が自転車レーン上に形成されています。


公園入り口の手前で自転車レーンから歩道に上がる行動も見られました。
縁石の段差が大きい車両乗り入れ部ですが、ショートカットなのでしょう。



当の自転車にあまり利用されていない自転車レーンが
バイクに使われている光景は各地でよく目にします。


今回の現地観察で得た最大の収穫は、右折待機車を避けて
自転車レーンに侵入する車とのニアミスに私自身が遭遇した事。

これだけ目立つ青色の自転車レーンが有れば直進車は自転車と衝突しないよう気を付けるだろうと思っていましたが、自転車レーンが無い場合と全く同様に車が強引に突っ込んできて、危うくぶつけられるところでした。ベルを鳴らしても止まらないし。右折待機需要がある場所では自転車レーンと車のレーンの境界にポストコーンなどを立てて車の侵入を防がないと危ないですね。


路上駐車に進路を塞がれた自転車の挙動


もう50cmくらい車道中央に寄らないとドア衝突を回避できません。


歩道橋から北側の様子









歩道橋から南側の様子






ここだけ切り取ると自転車レーン利用率は66.6%(笑)



宇喜田橋を過ぎた直後の下り坂


「自転車は徐行して下さい」の看板は歩道上に向けたものでしょう。


歩道を通行する自転車が多いものの、車道上に親子連れの姿も有り、
歩道と車道での利用者属性の偏りはあまり強くないようです。


道路反対側。車道と歩道を行き来できる場所からだいぶ進んだ所に
この看板を設置するのはあまり効果的には思えません。


橋から見下ろせる生活道路に何故か矢羽根型路面表示


道路ネットワークの階層で最下層のアクセス機能重視の路線に見えます。
なぜわざわざナビマーク、ナビラインを設置したのか……。



宇喜田橋の坂を下りきった所の交差点。自転車レーン整備区間の北側の端です。


停止線の前出し距離は4〜5mほど。利用者の感覚からも納得しやすいでしょう。


自転車のタイヤマークが複数見られます。下り坂でスピードを稼いで
黄色信号を通過できると誤って判断した結果でしょうか。


同じ場所の歩道


自転車レーンと歩道の比較


歩道橋から見た自転車レーン終始端部


整備前の区分線の跡が見えます。


登りで車との速度差が広がりやすい割には自転車レーンの幅が狭く、
ポストコーンなどによる保護も無いので不安感は大きいかもしれないですね。



南に向かう側は自転車レーンが途中で混在通行表示に変わっています。


とは言え、どの車も矢羽根を避けて信号待ちをしています。


自転車レーン北端の交差点から見た歩道と車道の比較


小学校の敷地をセットバックしたように見えます。



車道の幅員はここまでと同じに見えます。


バスに追い抜かれる瞬間はやっぱり怖いかなあ。


縁石からセンターラインまでは目測で約4.5m有るので自転車レーンは
一応引けそうですが、ここまでの整備区間の様子からすると利用率は低迷しそうです。


駅前駐輪場までの僅か数百メートルの区間、自転車ネットワークが途切れています。



あー、船堀駅前は自転車レーンを引いても安心な雰囲気じゃないですね。