2014年11月13日木曜日

合唱曲のフレーズ末子音のタイミングずれについて

ヨハネ受難曲 BWV245 第1曲 合唱 第31小節

私は合唱だろうがJポップだろうが歌詞を言葉として聞くのが苦手で、
母音も子音も全部「楽器音の表情付け」くらいにしか認識してないんですが、
(なので何回聴いても歌詞を覚えられないし、
詞と曲の相乗効果も全然分からない。)
歌声を純粋に楽器音として聴くと、
なぜフレーズの最初や途中のタイミングはバッチリ合うのに
最後の子音のタイミングはズレやすいんだろうと気になってしまいます。



あんまり上手くない合唱団(←失礼)の演奏を聴くと、
ドイツ語やラテン語など、閉音節構造を持つ言語の歌で
フレーズ末の /s/ とか /çt/ なんかの発音タイミングが
バラバラになりがちですが、合唱パートの譜面を見ると
記譜上の最小単位が音節なので、まあ無理もない。

1つの音符に3つもの音素を載せた例

例えば /s/ であれば持続性の摩擦音なので、
そういう奏法(ドラムのブラシとか)を用いて鳴らすノートと捉えれば
五線譜上にその開始点と持続時間を音符で表現できるはずです。
そうすればもっと正確なタイミングで発音できそうなもんですけどね。

/ist/ のスペクトログラム
歌声から言語情報を削ぎ落として純粋に楽器音として聴くとこんなイメージ

上のスペクトログラムの波形
左から母音、摩擦音、閉鎖、破裂音と区分できる。

それでふと、フレーズ内の位置によって発音タイミングのズレ量が変化するのは、
合唱団員が自分の声をセルフモニタリングする時、それを
楽器音ではなく言語音と捉えている事が影響してるんじゃないか
という考えが浮かびました(根拠は何も無い)。

ちなみに今、Ton Koopman 指揮、Amsterdam Baroque Orchestra で
J. S. Bach の Johannes Passion BWV 245 を聴いてみてるんですが、
さすがのプロでもフレーズ末の破裂音は若干バラけますね。