2014年2月10日月曜日

バスの目の前に飛び出す自転車

すぐ近くまでバスが接近しているのに、
その目の前で歩道から車道に飛び出す自転車。

この命知らずな行動の背景には、
バスの車体構造も関係しているのかもしれません。



歩道から車道に飛び出す無謀な自転車は
車の音の有無で安全を判断しているようです。
音がしなければ一時停止や安全確認は一切しません。
不要な労力は極力惜しむのが彼らの行動原理なのでしょう。

(これは車道を乱横断する歩行者にも言えます。)

ここでバスの車体構造を考えてみると、
最大の騒音源であるエンジンは車体の一番後ろに搭載されています。
一方、車体前部には音の出るものが付いていません。
タイヤのノイズも、乗用車と比べると非常に小さいですね。

つまり、無謀運転する自転車にとってバスは、
感知するのが難しい、ほとんど透明のような存在だと考えられます。
車体は大きいですが、安全確認をしない彼らにとっては意味の無い事です。

逆に、昔のボンネット・バスのような車体構造なら、
自転車の飛び出しはこれほど多くはならないでしょう。

現在の車体構造であっても、エンジン音をスピーカーで
車体前方に向けて発するという策も考えられますね。


---


ところが、東京バス協会・常務理事の市橋千秋氏は、
こうした構造的な要因には言及せずに
自転車を一方的に悪者にしています。


東京都青少年・治安対策本部 総合対策部 交通安全課(2012)
東京都自転車対策懇談会 第2回 議事録」pp.17-18 (pdf pp.18-19)

○市橋委員
今、路線バスには、約86%の車両にドライブレコーダーが装着されています。車内転倒事故が起きて、事故の状況を調査するときは、その映像を見て、原因等を調べます。しかし、自転車の飛び出しは、映っていても、そこから先は何も調べようがない。そこで、自転車にも防犯登録という個別の識別番号が付与されておりますので、これを活用してはどうかと考えています。現在の防犯登録の標章は小さくて見づらい形状になっています。これを改めて、原付並みとはいかないまでも、縦長の5×15cmくらいの短冊幅くらいのものにして、泥よけがある自転車については、後ろの泥よけ、なければサドルから後輪に延びているフレームに付けてはどうかと申し上げております。

これが、かの悪名高い自転車ナンバープレート制を発案した張本人の言です。
事故を防止するというより、とにかくあの糞忌々しい自転車野郎を
取っ捕まえて懲らしめてやりたいという憎しみが感じられます。


尤も、本人はそれを否定しています。
聞かれてもいないのに。


東京都青少年・治安対策本部 総合対策部 交通安全課(2012)
東京都自転車対策懇談会 第3回 議事録」pp.9-10 (pdf pp.10-11)

○市橋委員
バス事業者にとって、自転車を利用されている方を憎いなどと思っているわけではなくて、この方たちも大事なお客様です。一方で、利用者が増えてくるのに比例して、事故も多いし、現実に私どもの調査でも、バスに関連する事故の中で自転車関与の事故が非常に増えてきています。そのため、自転車利用者にも、ナンバープレートのようなものを付けていただいて、もう少し自覚のある使い方をしていただこうということで、議論がここまで来ていると思います。

(バスに乗らない自転車利用者は?)


東京都青少年・治安対策本部 総合対策部 交通安全課 (2013)
「第3回 東京都自転車安全利用推進計画協議会 議事録」 p.5 (pdf p.6)

○市橋委員
信号無視や一時不停止の自転車との重大な事故を間一髪のところで免れたとしても、自転車はそのまま走り去ってしまいます。バス乗務員にしてみれば、これほど悔しいことはありません。記載内容について異論はありませんが、取締りは、権限を持っているところしかできませんので、それを自覚してしっかりとやっていただきたいと思います。

このように、市橋氏の関心は〈既に起こってしまった事〉に集中しています。
事故を未然に防ぐ為に、その構造的な要因を探ろうという姿勢が見られません。

自転車にばかり矛先を向けてないで、
日野、いすゞ、三菱ふそうに協力を求めてみては?