2013年12月14日土曜日

お・も・て・な・shh

流行語大賞の発表を見て、今更ながら
滝川クリステルさんの五輪プレゼンテーションを聴きました。


1音節ずつ区切ってゆっくりと発音しているのに、
最後の「し」が無声化しているんですね。

真似する人の発音はテレビやラジオで何回も聴いていましたが、
誰一人として「し」を無声化していなかったので、
初めてオリジナルの音声を聴いた瞬間は驚愕しました。

確かに東京方言では特定の音韻環境で「し」を無声化する規則が有りますが、
あのプレゼンテーションのように、1音節ずつゆっくりと丁寧に発音する場合は
やっぱり声帯振動を復活させるのが普通ですよね。

もしかしたら、ご本人の中では無声化規則が形成されていなくて、
普通の「し」と無声化した「し」が
別個の音節として登録されている?

いや、アナウンサーなんだから
音声学の基礎知識ぐらいは有るだろうし……


などと思いながら続きを聴くと、
何と今度は普通の発話速度で
「し」の無声化が解除されました。

もうわけわからん。



2013年12月22日追記

日本テレビの「ものまねグランプリ ザ・トーナメント2013」
という番組で、福田彩乃さんが「お・も・て・な・し」の
物真似を披露しましたが、やはり「し」は無声化していませんでした。


この事実は、
物真似芸人でさえ真似しきれない程、
丁寧な発音での「し」の無声化は不自然である
とも解釈できますし、
言語上の特徴と、その人らしさの特徴は、
同じ音声の違いと言っても別々の層に属しており、
前者は物真似の評価にあまり影響しない
とも解釈できますね。

ちなみに、Wikipedia には福田さんの出身地が愛知県であると書かれています。
東海地方を含む西日本の諸方言は母音の無声化が起こりにくいので、
これも「し」の無声化の再現を妨げた要因と考えられます。