2013年11月27日水曜日

ニューヨークの自転車レーン

近年、ニューヨークでは自転車レーンの構造が大きく変化してきています。

2011年7月26日


これまでアメリカの各都市で導入されていた自転車レーンは
駐車スペースより内側(車道中心寄り)に引かれていたため、

by VinnyR (2006)

このような事故リスクが有りました。
また、白線のすぐ横を車が追い越して行くので、
実際に追突される可能性は低いにしても、
安心して通行できる環境ではありませんでした。



それが、近年になってようやく、

2011年7月26日

このような構造に改良されました。
サイクリストだけでなく、ドライバーからも支持され、
今ではニューヨーク以外の全米各都市にも広まりつつあるそうです。

2013年11月27日追記
この分離形態はずっと連続しているわけではなく、
車との混合通行になる箇所・区間もだいぶ残っているようです。
車載動画で見ていると、混合区間から分離区間に入った瞬間、
パソコンの前に座っているだけの自分でもホッと安心します。

参考ページ
2013年9月30日
Informed of Safety Benefits, Most NYC Voters Want Protected Bike Lanes
ニューヨークの有権者の多くが分離型の自転車レーンを望んでいる

参考動画

9分36秒から新型自転車レーンが出てきます。


カナダのヴァンクーヴァーやモントレアールでも同様に、
車から守られた自転車レーン(自転車道)が導入されています。

Dunsmuir Street, downtown Vancouver, Canada

2016年4月28日追記{
但しDunsmuir St.の構造は技術的にまだ未熟で、交差点では車と自転車の事故が多いとの報道が有ります。

Tanya Snyder. (2014-09-05). "How Vancouver Designs Intersections With Bike Lanes to Minimize Conflicts". Streetsblog USA.

Vancity Buzz Staff. (2014-03-13).  "Vehicle and cyclist collide at Beatty and Dunsmuir Streets". Vancity Buzz. http://www.vancitybuzz.com/2014/03/vehicle-collides-cyclist-beatty-dunsmuir/


参考ページ
http://cycleto.ca/protected-bike-lanes/where-why-what



ニューヨークが試行錯誤の末に辿り着いたこの構造は、
しかし、オランダでは何十年も前から完成していた形態です。

Princesseweg, Groningen, Nederland
(Google Maps, June 2009, 53.220064,6.548188)

Barchman Wuytierslaan, Amersfoort, Nederland
(Google Maps, July 2009, 52.152634, 5.366443)

このように最高のお手本が有りながら、アメリカは当初それを無視し、
自己流で危険な自転車レーンを作ったものの、利用者から批判され、
結局はオランダとほぼ同じ形態に落ち着いた——

というのが大まかな流れでしょう。



さて、冒頭の写真をもう一度見てみます。

2011年7月26日

自転車は車から守られていますが、
縁石や柵などの工作物は有りません。
ペイントで視覚的に分離されているだけです。

もしかして、お金を掛けなくても
理想的な自転車レーンが作れるんでしょうか?

そう上手く行くとは限りません。

Market Street, San Francisco, US

Market Street, San Francisco, US
(Bryan Goebel, December 2009)

写真はサンフランシスコの自転車レーンで、
樹脂製のボラードが新たに設置された当日に撮影されたものです。

物理的に分離された構造に生まれ変わった初日から、
車に侵入されたり、塞がれたりしてしまったわけです。

要因は幾つか考えられます。

  • 自転車レーンより内側(車道中心側)に駐車スペースが無い事
  • 柵が柔らかい樹脂製で、車に簡単に押し倒されてしまう事
  • 自転車レーンの入口部分に柵が無い事
  • 車の進入禁止を示す標識が無い(または足りない)事

一部のドライバーは、自分の利便性の為なら
際限なく他者の領域を侵してくるので、
それを念頭に置いて設計する必要が有ろうと思います。

例えばこうです。


ペイントに加え、ボラード、通行禁止標識、
そして単路区間の始端・終端部に縁石。

これくらい手を打たないと、
車に侵入されてしまう恐れが有ります。

ドライバーのモラルの低さでは日本もアメリカと良い勝負なので、
NYとSFそれぞれの自転車レーンは重要な参考事例になるでしょう。


比較の為に、千石一丁目交差点の事例を挙げます。
(写真はこのブログの過去記事から)

「自転車専用」と書かれても路駐が発生。

青色にペイントしても効果が有りません。

交差点の角は二段階右折をする自転車の滞留場所とされ、
車の侵入を防ぐボラードが立てられましたが、

左折車が入ってきます。

流石に大型車は外を通って行きますが、

普通サイズの車はどんどん入ってきます。

後日、ボラードがもう1本追加された事で、
ようやく車の侵入は止まりました。

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