2013年5月14日火曜日

日本、台湾、デトロイト

日本、台湾、デトロイト。

三つの地域を自転車産業の視点から比較してみます。


デトロイト

車産業の都市として世界的に有名なデトロイトでは
去年から自転車製造が活発化しているそうです。

Metro Detroit draws 2-wheel makers as bicycling on the rise

(以下、記事からの抜粋・要約)

背景
  • 退職したベビーブーマー世代が健康を保つためにサイクリングを始めている。
  • ガソリン代の高騰が、車で通勤する市民の懐を直撃している。
  • 政治家や、進んだ意識を持っている市民が、都市の再活性化に動いている。
  • ミシガン全域で自転車に優しい環境が整いつつある。
どんな自転車を作っているのか
  • スマートフォンを利用した自動変速
  • アメリカ製部品にこだわったレトロ調自転車
    (しかし懐古一辺倒ではなく、ディスクブレーキ付き)
  • 「デトロイト」の知名度のお陰で世界中に売れているハンドメイド自転車
    (ネット通販を活用している)
  • T型フォードに倣って黒一色のシンプルなモデルに絞った自転車


台湾

ジャイアントという世界的に有名な自転車メーカーが有ります。

『銀輪の巨人』 野嶋剛 2012 東洋経済新報社

(以下、本からの抜粋・要約)

当初はアメリカのSchwinnから製造を請け負っていましたが、
Schwinnはコストを理由に生産を中国に移してしまいます。

これに危機感を抱いたジャイアントは自社ブランドを打ち立て、
世界一を目指して品質を高め続けた事で、
今では世界中から高い信頼を得ています。

また、日本や中国で市場開拓をする時は、
「重くて疲れる」という古い自転車のイメージを払拭し、
新たにサイクリング文化を根付かせる戦略で、
高価なスポーツ自転車を売る事に成功しています。

(抜粋・要約ここまで)

私が見た限りでも、日本の通勤・通学・フィットネス用途の自転車市場では、
ジャイアントの企画力、技術力、価格競争力は突出しています。

特にESCAPE RやESCAPE AIRシリーズは、
パソコン市場におけるiMacほどのインパクトを
日本市場に与えたと言えるのではないでしょうか。



日本

嘗ては高い品質と低価格で世界を席巻した日本製の自転車ですが、
現在、完成車の主用輸出先は
カンボジア、ミャンマー、イラン、ガーナ、ナイジェリア、タンザニア
などの発展途上国で、単価が1200円強という惨憺たる有り様です(*)。
* 自転車産業振興協会 輸出実績表(国別) 2013年03月発表
要するに、自治体がろくに駐輪場も整備しないで
駐輪車両を片っ端から回収し、貧困国に流しているだけです。

変速機などの部品は、世界最強のシマノがいるので、
欧米にもよく売れているんですが。

海外の自転車フォーラムを覗いていると、

80年代のMiyataやNishikiなどはビンテージ品として
今でも人気なようで、割と頻繁に話題に上っていますが、

現代のBridgestone Anchorは、トラック競技の機材として、
ごく稀に「乗ったことある人いる?」という質問が出るくらいです。