2013年5月5日日曜日

夏のウェア (2) 安価なレーパンの問題

本格的に暑くなる前に、
夏用サイクリングウェアの効用や欠点をまとめてみます。

二回目はレーサーパンツ(cycling shorts)を取り上げます。


坐骨部分の痛み

私は体重は45kg程度ですが、体脂肪率が極端に低いからか、
普通の椅子に座布団を敷いて座っているだけでも
坐骨が当たる部分の皮膚がボロボロになります。

当然、ロードバイクの硬いサドルに何時間も座っていられるわけがないので、
スポーツ自転車を初めてすぐに安価なレーサーパンツを買いましたが、
坐骨の痛みはあまり軽減されませんでした。(個人の感想です。)


saitoimportの3Dパッドレーサーパンツ


それでも我慢して使い続けていたのですが、
「もしかして、痛みが出るのはサドルに体重を載せすぎているから?」
と思って、ペダルに体重を載せる事を意識して漕ぐようにしたところ、
坐骨の痛みは出なくなりました。(脚が疲れて漕ぐ力が弱まるまでは。)

それどころか、この漕ぎ方に切り替えてからは、
パッドの無い普通の肌着でも痛みが出なくなりました。


どうやらロードバイクという乗り物は、
サドルに載せる体重が有るならペダルを踏んで加速しろ!
という性格の乗り物のようです。


となれば、坐骨の痛みを解消する上で重要なのは
サドルの形状やレーサーパンツのパッドではなく、
  1. ペダルに体重を安定的に載せられるようにする事
  2. ペダルを漕ぐ力を長時間維持できるようにする事
の二点という事になるでしょう。

前者についてはクリップレスペダルの導入が有効だと思います。
靴とペダルが固定されるので、安心して
ペダルに体重を預けられるようになるからです。

また、ペダルを漕ぎ続けられるように、
流れの良い道路を選んで走る事も有効でしょう。

後者については地道なトレーニングが一番効くんでしょうが、
一定の出力で淡々と走るとか、補給食を計画的に取る
といった小手先の戦略も有効です。



内股の炎症

坐骨部分の痛みがあまり緩和しなかった一方、
レーサーパンツは新たな問題を呼び込んでしまいました。

股部分を下から見ると、縫い線(青く着色した部分)が十字に通っています。
普通の衣料品と基本的に同じ裁断パターンです。


内側から見てみます。


パッドと本体の段差や縫い代が内股部分に集まっています。


パッドの縫い付け糸も「冊冊冊冊冊冊」状で、肌に優しくありません。
他ブランドでは「/\/\/\」状に縫い付けてあります。

僅かな出っ張りですが、ペダルを漕ぐたびに擦れる部分なので、
ロングライドでは内股に炎症が出てしまう事が有ります。

それなら、
「レーサーパンツの縫い目が肌に直接当たらなければ良いはず」
と考え、ユニクロのシームレスボクサーを穿いてから、
その上にレーサーパンツを重ね穿きしたところ、
擦れは出なくなりました。(速乾性がかなり犠牲になりましたが。)



選び方

こうした反省点から考えると、(個人的には)短~中距離なら
わざわざレーサーパンツを穿く必要は無いと思います。
吸水速乾生地のシームレス肌着を適当に選べば良いでしょう。

一方、長距離ライドでパッドがどうしても必要だという場合は、
それだけ使用条件が過酷という事になるので、
妥協せずに最上位モデルを選んでしまうのが良いと思います。

店頭で実物を確認できた範囲では、
内股部分に縫い目が来ない裁断パターンやシームレス仕立ては、
やはり廉価ブランドや廉価モデルには見られません。

(と、口実を用意しましたので、
背中を押されたい方はご自由にお使いください。)