2013年2月26日火曜日

先走る述語

日本語は普通、「主語→目的語→述語」の語順で話されていますが、文の原初的な構造はそうではないのかもしれません。




2年ほど前に街中で聞いた発話例です。
雨風ともに強い台風の日、傘を差して携帯電話で話しながら歩いていた人が、
強風に煽られて、手に持っていた傘が壊れてしまい、驚いて

「壊れた! 傘が! 風で!」

と言いました。

厳密には合間合間に通話相手から「何が?」、「何で?」などと
聞かれたでしょうから、単一の文とは言えないかも知れません。
ただ、一連の発話の先頭に述語が来た事は興味深いです。

ヒトの認知では「物」よりも「事」の方がインパクトが大きい
という証左かも知れませんし、

言語の構造も原初的なレベルでは述語が先頭に来る
という証左かも知れません。

述語が文の構造の枠組み、つまり要であるという観点からは、
「重要(だと思う)情報を真っ先に音声化する」
という点が前回のインタビューの例と共通しています。