2012年12月21日金曜日

日暮里図書館で本の闇鍋

荒川区立日暮里図書館で目を引く企画が始まっていました。

その名も「本の闇鍋」。

書名も著者名も隠して、本の冒頭の一、二文だけを見せるというものです。




紀伊國屋新宿本店の企画を真似たそうですが、
図書館でやるのも面白いですね。こういう企画好きです。

展示台に置かれた二、三十冊の本は封筒に包まれ、
本文冒頭の一、二文が書かれたラベルが貼られています。

先入観が排除された状態で、剥き出しの文そのものを読まれる。
図らずも作家同士の実力勝負の舞台にもなっていました。

ただ、私はそんなに多読ではないので、たかだか一、二文だけ読んで
良さそうな作品を嗅ぎ当てるなんてのは無理です。

そんな中、一冊だけラベルに文字がびっしり書かれた本が有りました。
一ページ目の文章を全部載せたような雰囲気です。

ちょっと競争条件が不公平なんじゃないかと思いつつ、
世界設定が面白かったので手に取ってカウンターへ。


バーコードの所だけ切り抜いてあって、
未開封のまま貸し出し処理が完了します。

と言っても、返却期限のレシートに書名が印字されてしまうので、
その場で一つ秘密が失われる訳ですが。


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さて、封を切って取り出してみると、書名も著者も全く知らない本で、
装丁も、特に手に取りたくなるものではありませんでした。

つまり、企画は大成功。

逆に、普段どれだけ、本質的でない情報に惑わされて
良作かもしれない本を見過ごしていたかに気付かされます。


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2013年2月4日追記

本の感想です。内容も普段なら手に取らない分野で、
それなりに面白く、また視野も広がったのですが、
闇鍋企画で1ページ目を丸ごと紹介したのは
やはり他の本に比べて不公平だったと思いました。

1ページ目で提示された作品の世界設定には
大きく二つ、独創的なものが含まれていたのですが、
その片方は殆ど展開されず、添え物程度で終わっていました。

これだったら他の本と同じく最初の一文だけ抜き出した方が
作品の核となる世界設定だけに限定できて、
読後の裏切られ感が薄らいでいたかな。

ちなみに闇鍋の中身はこちらでした。