2012年8月16日木曜日

ブレーキ解放事故

しばらく前に有った自転車での事故(*1)。
ちょっと珍しいタイプかもしれないのでメモしておく。


*1 ここでは、「事故」を
負傷や物損の有無に関らず、想定外の危険な状況が生じて
通常とは異なる操作を求められる事態
という意味で使っている。この定義は米国安全協会
過去に発表していたらしいのだが、原文までは確認していない。


【事象】

クリップレスペダル(和名:ビンディングペダル)を装着した自転車で
車道を走行している時、強い引き足を使って加速したところ、
靴がペダルから外れ、勢いが付いた靴の踵がリアブレーキの
クイックリリースレバーを解放位置に動かしてしまった。

幸い、大事に至る前に気付いて停車し、レバー位置を元に戻した。
(解放位置でもブレーキが全く掛けられなくなる訳ではない。)


足を引き上げる力を駆動に利用する「引き足」


ペダルと靴の連結が解け、踵がブレーキのリリースレバーへ。



【要因】

事故の第一要因はクリートが摩耗していた事。使用クリートはシングルリリース型で、
足の垂直軸回転(踵の左右方向の動き)でしかクリップアウトできないが、
摩耗に因り、クリップアウトに要する回転トルクがかなり小さくなっていた。(回転角度も?)

第二の要因はペダリングの癖。自分はペダリング中、踵が内側に寄る癖が有り、
これに強い引き足の力が加わった事でクリップアウトに必要な条件が揃ってしまった。

第三の要因はブレーキの解放レバーが正常位置で下を向く設計である事。
地面からの振動を考慮すれば自然に思えるが、
下から靴に跳ね上げられる可能性は無視している。


レバーの通常位置。


レバーの解放位置。

第四の要因は、リリース機構がブレーキ側に有る事。
(カンパニョーロは手元のブレーキレバー側に有る。)

または、ブレーキの取り付け位置が問題とも見做せる。
(タイムトライアル用自転車では
後ろブレーキはBB下に取り付けられる場合も有る。)