2010年2月23日火曜日

なう (7) 文法的性質

前回の続き。

「なう」の品詞

 まだ生まれて間もない新語だから、
ユーザー間で意識のズレも有るだろう。
今回は取り敢えず、調査範囲で
多数派だった形式を基準に考察する。



・文中での位置

 名詞・形容詞・動詞の後ろに置かれ、多くの場合は
それが文末になる。この点からは名詞か終助詞に近い。

 名詞の場合は「なう」を後部要素とする複合語、
或いは句と解釈できる。この場合、「何々なう」全体が
名詞句に相当するので、体言止めの形式と言える。

  e.g. 「起きたなう」 (私が起きた現在) 連体形で解釈
  e.g. 「だるいなう」 (私がダルい現在) 連体形で解釈
  e.g. 「もんはんなう」 (もんはんの現在??)

しかし、語の内部に動詞・形容詞の活用語尾が入り得る事、

  e.g. 「起きなう」 (複合語なら「起きなう」としなければならない)

また、前部要素の名詞に修飾句・節を含められる事から、

  e.g. 「【どこの電源コンセントの前でも老若男女がたむろってい る、ロサンゼルス国際空港】なう。
」 (斜線部が修飾要素。「ロサンゼルス国際空港」を修飾している。)

複合語とは言い難い。

 終助詞の場合はキャラ語尾と解釈できる。
(キャラ語尾は、例えば兎のキャラクターが
文末に付ける「ぼくはうさぎだぴょん」の様な表現。)

  e.g. 「いちご大福なう かしょうさんぜんにかぎるなう

しかし、もし「なう」がキャラ語尾であれば、一回のつぶやき中に
複数の文が有る場合、他の文でも一貫して文末を「なう」に
する事が期待されるが、実際は殆どの用例でそうなっていない:

「昼飯なう 体に野菜が染み渡る」
「朝飯なう 今から22:00まで仕事って何?」
「おはようございます。がっちりマンデーなう。」
「能楽堂なう!これから7時までの長丁場です。」
「鹿児島・国分駅なう。いまから生目の杜に向かいます。」
「JRでちんたら府中に向かってま〜す! 富士川上空なう
「今朝もいい天気なう。全力サイクリング中!気持ち良い♪」
「高崎駅なう。これから上野公園に大道芸を見に行きます。」
「ワンピースなう。「奇跡なめんじゃないよー!」ちょう良かった。」
「ニューヨークバーガーなう。テキサスより旨し。パンチには欠けるが。」
「BSでショートトラックなう。審判がスーツにスケート靴なのがなんか笑える」
「日曜出社は、悲しーね。電車もバスも駅もカップルとファミリーだらけ、なう。」
「志賀高原一ノ瀬なう!今日は起きれた!朝一ゲレンデ最高!写真無しですが。。。」
「朝から鼻血なう。最近鼻を強くかいてしまうと必ずなので、しばらく気をつけないとな。」
「新幹線乗ったなう。今日も日帰り東京(品川)旅行。朝の新幹線の中は寝ておくかなー」
「うわぁんマトモに使えるのぶんまわし系だけだよーボウガンとか難しすぎる!@モンハンなう
「品川なう。ジョージはお仕事がんばってるんだろなー。品川プリンス方面に愛をおくっといた(^^)」
「仮面ライダーWなう。今回のシリーズ、けっこう好きだが、「検索」ってやるのがいつも違和感バリバリ。」
「お風呂上がりなう。営業マンの荒栄さんとジュース飲んでます。やっぱ総湯は山代の財産ですわー。」
「結局聴きなれてる方向に戻っちゃってるなうです いかんいかん。 オムニバスでも借りてこようかしら」
「英語終了なう。死んだ……とか思ってたら、簡単過ぎたとかいう声が聞こえてきた。なんも言えねぇ……」
「サンジャポなう。言いたい放題で面白い。西川先生の結婚式ちょっと泣いてしまった。いいなぁ、結婚式。」
「地元の防災訓練に参加中なう。最新装備のレスキュー隊模擬訓練とかあって予想より遥かに面白いです!」
「米沢なう。昨年の大河の舞台です。「愛」の兜もみられます…ってか米沢に近づいたらいきなり天気悪くなった(Ⅲ ̄д ̄)」
「おぁようございまふ( ̄。 ̄) ブログデザインのカスタマイズ(許容範囲)やっと完了なう。マージンて、なんやねん…でも面白かったw」
「今日は4月から通う専門学校の学祭があることにさっき気づいた。行くべしなんだろーけど、、だるいなう。国立遠いんだもん。」

「いちご大福は菓匠三全に限るなう」(作例)では
「なう」がキャラ語尾の様に見えるが、多くの用例では
キャラ語尾として使っているわけではない様である。

・意味

 一方、意味的には「なう」は動作・状態を修飾しており、
副詞に近い。これは、動詞や形容詞、動作性名詞を欠いた
「名詞+なう」型の文でも同じで、省略された述語を
修飾していると考えられる。(或いは文全体を修飾。)

  e.g. 「コーヒーなう」 (いま{コーヒーを飲んでいる})

しかし、この場合は語順が不自然である。
意味的に最も近い副詞「いま」は普通 文頭に置き、
文末に置いた場合は倒置文の様に感じられる。

  e.g. 「コーヒー飲んでる、いま。」(作例)

すると大多数の「何々なう」の用例は全て倒置文なのだろうか。
それならば少しは「なう何々」という正常な語順も見られる筈だが、
今回の調査範囲では1例しか無い。

  e.g. 「なう。11時34分39秒です。」

しかも「なう」の直後に「。」である。こうした使用実態からは
寧ろ「何々なう」が「なう」の正常な語順と考えられる。

また、「名詞+なう」型の用例では「なう」によって述語が省略
されている事が示され、形式的には「なう」が述語の代役を
果たしていると言えなくもない。もし述語であれば、目的語や
補語の後に置くのは、SOV型の日本語には自然である。