2009年8月7日金曜日

袴の襞取り

今、行灯袴を縫おうと計画しています。

ちょうど手元に良い資料が有るので、これを参考にしているのですが、襞をどう取るかでは、以前 指貫袴を縫った時も散々苦労したので、今回も先ず図面を引いて確認する事にしました。

最初に資料の記述どおりにCAD図面を引いてみます。行灯袴は左右の足が分かれていない、スカート型の構造なので、前側と後ろ側に分けて考えます。

襞取り図(前側)


襞取り図(後ろ側)


実際の感じを掴む為に印刷して折ってみます。

前側



後ろ側



一見良さそうですが、前側は襞が腰幅からはみ出してしまう事が分かりました。

さて、はみ出た分をどこから削ろうか。資料では使う布の量を後ろ側より30cmほど多く指定していたので、これを削れば丁度、腰幅に収まりそうです。(前後の布の量もキッチリ揃えられるので、一石二鳥ではないでしょうか。)具体的に、どの襞を何cm削るかは表計算ソフトで数パターン試してみて、一番バランスが良さそうな値を適当に決めました。これを基に新しい図面を引き直します。

襞取り図(前側)修正版

これで襞が綺麗に腰幅に収まりました。

さて、折った状態で前後の布を重ねてみると、

後ろ側(赤斜線の部分)がはみ出してしまいますね。でも考えてみれば着装時は立体になるので、多分こんな感じを狙って、敢えて前後の寸法をずらしたんじゃないでしょうか。

着装時の側面

脇の開きの下端が体の中心線より前にずれているので、スリムに見える……のかな。本には「どういう効果を狙って云々」とは書かれていないので、真意は分かりません。細かな寸法の加減にも長年の工夫の蓄積が詰まってるんだろうとは思いますが、やはり書物だけでは伝統は繋がりませんね。